2種類のエネルギー生産サイクル

人体のエネルギー生産方法は、以下の2種類があります。

  • 解糖系:ブドウ糖を使用
  • TCA回路:ケトン体を使用

単純な違いは、酸素を使うか使わないか、ミトコンドリアが必要か不要か、です。

二つの回路の違いを踏まえながら、エネルギー生産方法の特徴や違いについて解説します。

解糖系の特徴

解糖系は、細胞内の細胞質でブドウ糖を分解してエネルギーを取り出します。

無酸素でエネルギーを作り出せる反面、得られるエネルギー量は1回あたり2ATPと少ないだけでなく、副産物としてピルビン酸を発生します。

ピルビン酸は、無酸素状態で乳酸へと変わります。

筋トレすると乳酸が溜まるとよく言われますが、筋肉に大きな負荷がかかったときに酸素なしでエネルギーを生産する方法のほか、ブドウ糖しか使用できない組織に優先的に使われます。

TCA回路の特徴

TCA回路は、ミトコンドリアがケトン体や乳酸(ピルビン酸)をエネルギー源として、酸素を使った酸化分解によってエネルギーを取り出します。

TCA回路の特徴は、完全に酸化され副産物が出ないことです。

最終的には、12個のATP(エネルギー)と水、二酸化炭素に変わります。

人間が常に呼吸しなくてはいけないということは酸素が必要ということであり、酸素が必要ということはTCA回路が常に稼働しているという何よりの証拠です。

解糖系→TCA回路でエネルギー連結?

一つ気をつけておきたいのは、「解糖系→TCA回路の連結」という流れがあるのかです。

解糖系でブドウ糖からエネルギーを取り出すと、副産物としてピルビン酸が生まれます。このピルビン酸、または乳酸をTCA回路でエネルギー源として使うという考えです。

実際、脳のグリア細胞は、この方式でニューロンにエネルギー源を届けているようです。

ただし、ニューロンには、TCA回路がある以上、ケトン体を自己調達してエネルギーを生み出すこともできるので、解糖系とTCA回路の連結だけが絶対的に必要とは言えません。

筋肉は乳酸を余らせている

筋肉に関していえば、「乳酸が溜まっている」と表現されるように、使われずに余っている状態なので、この方式でどんどんエネルギーを作り出しているとは考えられません。

酸っぱい汗は乳酸が原因

汗に関しては、酸っぱい匂いの原因は乳酸を皮膚表面のブドウ球菌が分解したことで生じるものなので、ここでも、乳酸が余っていることが証明されています。

これらの理由から、「解糖系(ブドウ糖分解)→ピルビン酸→乳酸→TCA回路」という流れが存在しても、実際には、大した稼働割合ではないと考える方が妥当に思えてなりません。

安静時のエネルギーバランス

安静時、基礎代謝のエネルギーバランスは、ほとんどがケトン体と言われています。

  • 解糖系(ブドウ糖):1割
  • TCA回路(ケトン体):9割

この対比くらいなら、「解糖系→TCA回路」の流れも成立するかもしれません。

いずれにしても、ケトン体を必要とするTCA回路は、酸素を用いて熱を発生させたり、内蔵機能の維持のために常に稼働している状態と考えることができます。

また、赤血球は酸素を運ぶという都合上、自己消費しないためにTCA回路を持たず無酸素でエネルギーを生み出せる解糖系のみに頼っていますが、エネルギー源となるブドウ糖は、肝臓のグリコーゲンから取り出したり、足りなくなれば糖新生でもまかなえます。

汗の成分にも乳酸が含まれる

乳酸は、汗にも含まれているとわかっています。

TCA回路で使われずに余った乳酸が大量にあるという証明になります。

汗臭の元は乳酸

汗臭の原因であるジアセチルという物質は、皮膚表面の乳酸を常在菌が分解して作り出します。

汗に乳酸が含まれているということは「解糖系→TCA回路」は完全にピルビン酸を消費しきれていないことになります。

汗が臭くなる原因からも読み解けるように、「解糖系→TCA回路連結」が実在しても、それほど使われていないと考えるか、それ以上に大量に糖質を摂取しているかのいずれかです。

役割分担を理解する

解糖系とTCA回路は、お互いの役割分担があり、普段はTCA回路ベースで基礎的なエネルギーを生み出し、酸素の供給が間に合わなくなるほどパワーが必要な時には解糖系が役立つという得手不得手があります。

ベースは、体内脂肪を使ったTCA回路で生体活動の維持です。

いざという時の筋肉、もしくは、性質上ケトン体や酸素を使えない組織は解糖系に頼って稼働。

こうした違いがあることを理解すれば、自ずと糖質を摂る必要性も薄くなり、健康のために食べるのではなく健康のために食べないことの意味を理解しやすくなるのではないでしょうか。

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