ブドウ糖しか使えない細胞がある理由

人間の体には、赤血球、脳のグリア細胞など、ブドウ糖しか使えない組織があります。

ちなみに、がん細胞もブドウ糖しか使えません。

それから、高負荷時に働く筋肉(速筋)もブドウ糖の使用率が高い組織です。

このページでは、ブドウ糖依存100%の細胞がある理由と筋肉がブドウ糖を必要とする条件について解説していきます。

赤血球にはミトコンドリアが無い

赤血球には、ミトコンドリアがないので解糖系のみです。

そもそも、赤血球はあらゆる細胞に酸素を運ぶという役割を担っている組織なので、ミトコンドリアを宿すと赤血球自体が酸素を自己消費してしまうことになります。

赤血球は組織の役割上、酸素を使用できないのでケトン体も使用できないのです。

では、ブドウ糖の消費量に関して考えてみると、赤血球が血液内に大量にあっても高血糖が続くということは、赤血球が消費するブドウ糖の量もたかが知れていると言えます。

脳のグリア細胞

グリア細胞は、脳内の神経系を構成する神経細胞ではない細胞の総称であり、ニューロンの働きをサポートする組織です。

グリア細胞の種類

  • アストロサイト
  • オリゴデンドロサイト
  • ミクログリア

脳内は、ニューロンという思考を司る神経細胞が支配する世界です。

思考するため、生体活動の恒常性を保つためには脳機能の維持が欠かせないので、ニューロンの働きを保つのが最優先と言えます。

この時有効となるのが、解糖系→TCA回路の連結です。

グリア細胞はブドウ糖を消費し、副産物として生まれた乳酸(ピルビン酸)をニューロンに渡すという関係性が成立していると考えられます。

このうちアストロサイトがブドウ糖を乳酸に代謝したのち、モノカルボン酸トランスポーターを介してニューロンに供給しているそうです。

脳のエネルギー源はブドウ糖だけ?

未だにこうした情報が確認されますが、脳内でブドウ糖を必要としているのは、ニューロンではなくグリア細胞です。

また、ブドウ糖の摂取量と脳の働きには、明確な関連性が無いとも言われています。

さらに、糖新生でもブドウ糖は作り出せるので、「頭の働きを維持するために糖質を摂取する」というのは、気持ち的な問題にしか過ぎないどころか、食事による消化で血液や酸素の商品が増えると脳の働きは抑えられやすくなります。

がん細胞もブドウ糖しか使えない

脳のグリア細胞、赤血球の他では、がん細胞もブドウ糖依存です。

がん細胞は遺伝子の複製ミスで作られますが、正常細胞より数倍早く増殖を繰り返すためにブドウ糖を大量に消費しています。

がん細胞にもミトコンドリアはある

がん細胞内にもミトコンドリアがありますが、TCA回路は、酸素を使う複雑なエネルギー生産経路なので使えないようです。

通常よりも3~8倍でブドウ糖を消費

がん細胞のブドウ糖を運ぶ機関(グルコーストランスポーター)は、正常細胞よりも3~8倍も稼働していると言われています。

それほどまでに大量のブドウ糖を商品しているということなので、ブドウ糖を摂取しすぎることは、がん細胞にエサを供給していることと同じと言えます。

糖尿病のがん発症率

糖尿病になると、糖尿病ではない人と比べて大腸がんは1.4倍、肝臓がんは1.97倍、すい臓がんは1.85倍も、がんを発症するリスクが高いことが日本糖尿病学会と日本癌学会による10年間の追跡調査でわかっているそうです。

参考:講演4「がん予防法とがん検診―大腸がんを中心に―」|日本癌学会

筋肉がブドウ糖を使いたがる条件

筋肉は、条件によってブドウ糖消費量が異なります。

体温を維持する、呼吸する、歩く軽く走るなどの軽度の運動は、ケトン体が大半を占め、運動量が増えるごとにブドウ糖の消費割合が増えていきます。

酸素使用の範囲内であればケトン体がメインですが、運動量が増えて酸素の供給が間に合わなくなるとブドウ糖のサポートが入るイメージです。

筋肉は負荷に応じてエネルギーバランスが変わる

安静時には、9:1の割合でケトン体メインで消費されていると言われています。運動の負荷が上がるにつれて、ブドウ糖の消費割合が増えていきます。

有酸素運動による体の変化

有酸素運動を繰り返し続けていくと次第にスタミナが増えていきますが、取り込める酸素量が増えて心肺機能が強化された状態です。

細胞内ではミトコンドリアの数が増え、一度に取り込めるケトン体量、酸素量ともに増えます。

結果、ブドウ糖の消費割合が抑えられケトン体を効率的に使えるようになるのです。

筋肉を増やせばブドウ糖は減りやすい

ボディビルダーのように無酸素運動メインの筋肉(速筋:白筋)が多い場合は、最初からブドウ糖に依存しやすい状態なので、エネルギーが枯渇しやすくなります。

筋肉量を増やせば糖尿病とは無縁になれるかもしれませんが、自分の抱えている筋肉ですぐにスタミナが切れる体になりやすいと言えます。

ブドウ糖依存で疲れやすくなる?

ブドウ糖に依存した食生活を続けると、ケトン体不足状態が慢性化して基礎体力が落ちる可能性もあります。

ブドウ糖依存スパイラル

  1. 高血糖を繰り返す
  2. 常にインスリンが分泌
  3. 脂肪をため込む状態が続く
  4. ケトン体の生産が減る
  5. 細胞内のミトコンドリアが減る
  6. 基礎代謝、基礎体力が落ちる
  7. ブドウ糖依存度が高くなる

このようなブドウ糖依存のスパイラルに陥り、次第に体力が落ちていく恐れがあります。

体は、優先して「まずは、余剰なブドウ糖を処理する」ことを優先するため、ブドウ糖貯蔵をし続けている間は、遊離脂肪酸を血液中に放出してケトン体を作ることができなくなってしまいます。

ブドウ糖ばかりに頼っていると、メインエネルギー源であるケトン体が血液から不足気味となり、有酸素運動のエネルギー代謝(TCA回路)が落ちます。

結果、疲れやすくなるという理屈です。

性質は違っても、ボディビルダーが疲れやすいことと原理的には同じです。

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